校長の声『Retreat』
「軽井沢」と言えば、「ショッピングできる避暑地」というイメージを持っている方が多いかもしれないが、この軽井沢には宗教と関係がある名所もある。軽井沢銀座からChurch Street(教会通り)を通ればアントニン・レイモンドが設計した聖パウロ教会、サンセットポイントとして知られている旧碓氷峠の方面に行けばショー記念礼拝堂、そして雲場池の近くには神言修道会の黙想の家がある。
黙想の家のことを英語でretreat houseと呼ぶが、この"retreat"という言葉には"to go on retreat"、静かに自分の今まで歩いてきた人生の意味を振り返る「黙想・静修」のほかに、(敗北で終わる可能性がある)戦いからの"retreat"、撤退という意味がある。換言すれば、「黙想」には逃げて撤退する側面は欠かせない。 「主はわたしの岩、砦、逃れ場/わたしの神、大岩、避けどころ」(旧約聖書の詩編18編3節)で示されているように、この世の煩悩から神の所に身を潜めたくなる時もあるからである。
殆ど毎年の夏この黙想の家で静かな時間を過ごしてきた私にとって、軽井沢は-何が本当に大事であるかを考えるための-文字通りの「逃れ場」、日常の雑業に負けないように戦略的な撤退を可能にする場である。言うまでもなく、このような場は軽井沢だけではない。年間行事の「静修の日」が行われている聖園女学院の講堂は今年もまた参加者にとって過去を振り返り、そして今後のことを考えることができる「逃れ場」になることを祈っている。
1枚目:軽井沢銀座
2枚目:軽井沢銀座から見たChurch Street
3枚目:聖パウロ教会外見
4枚目:聖パウロ教会内
5枚目:ショー記念礼拝堂
6枚目:雲場池
7枚目:神言会軽井沢修道院
8枚目:神言会軽井沢修道院チャペル