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校長の声

校長の声『自己紹介』

K17-1.jpg 初めて会う方に渡す名刺のことを英語で"business card"と呼ぶ。基本的な情報(氏名、会社、役職、連絡先等)が記載されている商売に役立つ一枚の紙なので、極めて的確な名称である。仕事の一環として長年名刺交換をしてきたせいか、名刺がなければどうなるのか、と心配するときもあるが、自己紹介ぐらいなら、日本に来て間もないうちに日本語学校で教えてもらった台詞で十分に自己紹介できる。「カルマノと申します。ドイツから来ました。よろしくお願いします。」

 限られた日本語力で会話を続けることは決して簡単ではないが、言葉の壁を乗り越えて、また次の難問が待ち構えている。同じ母語同士で話し合っても、互いに話が通じない時は多々ある。では、神と人間との初顔合わせのときはどうなるのであろうか。

K17-2.jpg 1つの具体例は初めて神に出会うモーセの話である。神からのメッセージをイスラエル人に伝えるとき「その名は一体何か」と聞かれたらどう答えるべきかというモーセの質問に対して、神の自己紹介は実に興味深い:「エヘイェ・アシェル・エヘイェ」「わたしは『ある』ものである」。(出エジプト記314節、原文校訂による口語訳、フランシスコ会聖書研究所訳注。)

 一枚の名刺に印刷すれば、先の「美蛙」の名刺と比べると情報が少ないように見えるかも知れないが、ヘブライ語の原文に近い未来形の動詞- 英語で"I will be what I will be" - と翻訳すれば、この神の名前だけでも完結な、必要な情報を全て提供する自己紹介になる。分厚い聖書に記載されている神の自己紹介を一枚の名刺にまとめることができる。「連絡先はその時その場で教えてあげるから心配しないで」、と。

 ちなみに、いつでもどこでも連絡できる方の自己紹介を正しく聞き取れるためには、普段情報交換に使っている名刺入れとスマホを定期的に自分の手が届かない所にしまっておく必要がある。

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