MISONO's NEWS

校長の声

校長の声『リスニングテスト』

 質問がある時、いつも親切に教えてくださった恩師、イエス先生がいなくなってから、弟子達が気を落として部屋に閉じこもった時のことである。全く予告なしに「一同は聖霊に満たされ、"霊"が語らせるままに、ほかの国々の言葉で話しだした。」(使徒言行録24節)バベルの塔(2018年7月24日の「校長の声」を参照)の事件で人類の共通語が失われた弊害を少しでも緩和するという、神の親切さを感じることができ、勉強なしに外国語で話せるようになることは学習者にとって非常にありがたい話ではあるが、このような現象が起こったのは、一回きりなので外国語で生計を立てている先生は心配する必要がない。

 外国語を学ぶ必要性に疑問をかけるのは、このような聖霊の働きではなく、むしろ通訳ソフトの躍進的な進歩であろう。外国語の知識・スキルは相変わらず必要であるが、言葉の壁を乗り越えて世界中の言語でコミュニケーションを取るために役立つことは、時間がかかる頭の回転ではなく、直ぐに出来るスマホをあしらう指の操作だかもしれない。

 ところで、神とのコミュニケーションになると、外国の勉強も通訳アプリも不要である―これは聖霊降臨の祝日が我々人間に伝えようとするメッセージである。何故かというと、聖霊は私達がそれぞれ理解できる言語で話しかけてくださるからである。(第2バチカン公会議までにラテン語で行われたカトリック教会の典礼は今各国の言葉で行われるようになったことを私は感謝しているが、バベルの塔の二の舞になるのではないかという批判の声もある。)

 言うまでもなく、それぞれの言葉で話しかけてくださる聖霊の賜物にはそれなりの課題も付いてくる。2021年1月から実施される予定の「大学入学共通テスト」の英語の試験では4技能、「読む」「聞く」「話す」「書く」は評価の対象となるが、聖霊が課す試験は「聞く」、リスニングテストだけである。理解できる言葉で呼びかけてくださる聖霊の声に心の耳(手話に頼っている人は心の目)を開いて、そこで分かったことを(イエスの弟子も貰った、心と心とを繋ぐ聖霊の通訳アプリを使って)自分の言葉でまた人に伝えることは我々人間の使命である。

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