MISONO's NEWS

校長の声

校長の声『Spiritual Exercise』

 健康で幸せな人生に運動は欠かせないが、積極的に動かす必要があるのは体だけではない。心身共に元気な毎日を送るために心のエクササイズは不可欠であるが、各宗教の伝統的な儀式を参考にすればそれほど難しいことではない- 仏教の座禅、ヒンズー教のヨーガ、イエズス会(カトリック教会の修道会)の霊操(れいそう)は具体例である。特定の宗教を離れても、(流行のカタカナ語となっている)「スピリチュアリティ」という名称で精神的な安定を目指すエクササイズも数多くある。(宗教心理学の研究対象ともなっているが、字数の関係上ここで省く。)

 聖園女学院はカトリックの学校なので、毎日の黙祷のほかに生徒心身の成長を目指して、毎年7月に「錬成会」が実施されている。今年も中1から高2までの生徒は「愛の人・ド・ロ神父」というテーマで班に分けて一緒に学んだことを皆の前で発表したのである。その一週間前生徒・卒業生のお父さん達の第12回聖書合宿があったが、「歩く黙想」等で心も足も鍛えることができたと、好評だったのである。

 「星の王子さま」には次の言葉がある。「ものごとはね、心で見なくてはよく見えない。一番大切なことは、目に見えない。」毎日聖園坂を登ってくると足は強くなるが、錬成会・聖書合宿の目的は心の目と耳を鍛えることである。足が丈夫な人はマラソンを完走できるが、鍛えられた目と耳とを使っての競争は別なところを目指す。

 「あなたがたは知らないのですか。競技場で走る者は皆走るけれども、賞を受けるのは一人だけです。あなたがたも賞を得るように走りなさい。競技をする人は皆、すべてに節制します。彼らは朽ちる冠を得るためにそうするのですが、わたしたちは、朽ちない冠を得るために節制するのです。」(使徒パウロのコリントの信徒への手紙一第9章24節~25節)

 錬成会・聖書合宿等の"Spiritual Exercise"、心を鍛えるエクササイズに力を入れることは聖園女学院の教育方針である。生徒(そして保護者)に目指して欲しいと思っているのは、心にしか見えない大切なもの、朽ちない冠を得ることである。新しくなった学校案内"MISONO"の最後のページには、この目標は簡単にまとめられている:"Find your mission" - 「自分のミッション・使命を見つけなさい!」、と。

 言うまでもなく、これは一人でやれることではない。共に走る「共走相手」は欠かせないが、競争する側面を完全に取り外すことではない。東京の上智大学、名古屋の南山大学が毎年行われている「上南戦」は今年第60回大会を向かえた。南山大学は準優勝、上智大学は最後から2番目という結果になったが、カトリック大学同士であるからこそ普段目に見えない大切なキリスト教精神を世間に示すエクササイズになったのではないか、と私は思う。

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リンク先:

宗教心理学研究会|Society for Study of Psychology of Religion

http://www.psychology-of-religion-japan.org/#宗教心理学研究会

聖園女学院新パンフレット

https://www.misono.jp/common/pdf/SchoolGuide.pdf

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