2021年2月アーカイブ - MISONO’s NEWS|聖園女学院中学校・高等学校

聖園だより

高1家庭基礎 認知症サポーター養成講座

高校1年・家庭基礎の授業で、「認知症サポーター養成講座」を開講しました。

認知症サポーターとは、認知症に関する正しい知識やつきあい方を理解して、認知症を抱える人や家族に対してできる範囲で手助けをする人のことです。
厚生労働省の取り組みの一環として、県や市の地域包括支援センターが窓口となって養成講座を開いています。

高齢者介護に長年携わり、各地で認知症に関する啓発活動に尽力されている水野重信先生を講師にお迎えし、十分な感染症対策を講じた上で1クラスごとの対面講座が実現しました。
講師紹介.jpeg

サポートにあたってとりわけ大切なのは、
・他人事ではなく、「自分ごと」だと考えること
・焦りと不安を減らしていくこと
だそうです。紙芝居のスライドをはじめ、TVドラマや映画の紹介を交えた講座はテンポ良く進んでいきました。
スライド2.jpeg

受講を終えた生徒は、「認知症サポーター」の証・オレンジリングをいただきました。
正しい知識を身につけて、出会った人たちの笑顔を増やしていけますように!
オレンジリング.jpeg

高1生徒.jpeg

《受講を終えた生徒の感想より》
・認知症の人は全てを忘れたのではなく、一部だけなのだということは一番の驚きでした。

・社会的弱者だと思い、否定的な感情を抱いてしまっていたけれど、関わり方によって本人も私たちも安心してくらし、人間関係が崩れることなく日々の生活を送ることができるようになるのだと初めて学べました。

・「できても、できなくても大丈夫だよ」と友達や先生が声をかけてくれて安心することがあります。認知症の人も、それと同じなんだなと思いました。

・認知症の人の行動例が、我が家で起きたこととそのまま同じでびっくりしました。

・祖父が認知症だった時に、亡くなった祖母のことを「帰りが遅くならないか、どこにいるんだ」と亡くなったことを忘れていたことがありました。その時、父や母は「もうすぐ帰ってきますよ」と安心させていたことを思い出しました。当時小学1年生だったので、「嘘ついたらだめだよ!」と私は言いましたが、この講座を受講した今は、笑顔で安心させてあげることができるようになると思います。

・認知症の方ができないことをやってしまうのは、「周りの人のため」であることを知り、むやみに叱ったり、腹を立てることではないなと思いました。

・パーソナルミュージック(個人の思い出と結びついた音楽。認知症の症状改善に役立つ事例がある)のように、音楽の他に何が効果的なのか知りたいと思いました。

講座当日の様子は、Facebookでもご覧いただけます。
https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=259652928891954&id=100704338120148

校長の声『涙』

 新約聖書で語られている「世の終わり」と言えば、直ぐに浮かんでくるイメージはシスティーナ礼拝堂にあるミケランジェロの有名な「最後の審判」のフレスコ画であろう。ところで、神のイメージは(例えばマタイによる福音2531節~46節で描かれている)厳しい世の終わりの裁判官だけではない。神は人と共に住み、「彼らの目の涙をことごとくぬぐい取ってくださる」(ヨハネ黙示録214節)という、新しい世界を描く文章もある。余計なことを言わないで、「よしよし」と泣いている子供を慰めてくださる優しいお父さんのイメージである。神の手に触れて、ずっと抱えてきた苦しい想いと疑問はその時跡形もなく消えてしまう。

K48-1.jpg

 全知全能の神だからこそ、言葉を使わないで、その手が完璧な答えとなっているが、人間同士である我々は対応で迷うこと多々ある。

 聖園女学院を受験して、合格証を受け取った女の子は直ぐに涙が溢れてきた。うれし泣きなので、他人から受けるねぎらいの言葉よりも、自分の涙こそ今まで苦労した想いへの答えとなるという印象を私は受けたのである。

 合格を発表する時期は、花粉症で苦しんでいる人が倦む季節でもあるが、アレルギー反応として出る涙と一緒に、自然に「何故私なのか?」という、隣の元気な人と自分を比べる嘆きも出る。不合格になった受験生も、涙を流しながら、同じ嘆きになる。「忍耐してがんばってください」は必ずしも慰めの言葉にはならない。

 ワニの涙("crocodile tears")になると、その解釈ははっきりしている。涙を流して獲物をおびき寄せ、涙を流しながらそれを食べるワニなので、自分が美味しく食べている生き物に「お前は本当に可哀想だね」と声をかけても、これは空涙、嘘の涙に違いない。例え、この涙が特定の肉に対するアレルギー反応であっても、可哀想なのはワニではない。

 桃太郎神社(愛知県犬山市)には涙を流す鬼*1 の像がある。「鬼の目にも涙」という諺は単なる比喩ではない。しかも、鬼の裏には心を込めた言葉が書いてある。「もう悪いことはしません。この涙を見て下さい」と。涙を拭い取ってあげたいという気持ちを押さえて、「鬼の涙もワニの涙」という結論は正解であろうが、神はこの件をどう考えているのかはやはり少し気になる。

K48-2.jpg*1 Youtube「愛知県犬山市 桃太郎神社 鬼の目にも涙」:https://youtu.be/PCGzTVpVgYk

2021年度中学入試 結果

ごきげんよう。
2021年度中学入試の結果をお知らせいたします。

2021年度聖園女学院中学校 入試結果.pdf

聖園の探究活動(高校生編)

聖園女学院では、中高一貫校の特徴を生かした総合学習・探究活動に取り組んでいます。
それぞれの学年に応じた「身につけてほしい力」を明確に示し(中学生は①~⑨、高校生は⑩⑪)、生徒と教員が共有することで、研究や発表の技術を無理なく磨いていきます。
1月19日(火)に行われた高校学年発表の様子をご紹介します。

【全体目標〈高校〉課題解決の基本技能「対話・提案・質疑応答」の力を高める】

高1 SDGs 5つのP
⑩質問力を高める・質問するには準備が要ることを知る
⑪他者の目を意識したプレゼンテーションを行う

SDGsの17目標を「5つのP」に分類し、各自が探究を進めました。
・People(人間)
・Prosperity(豊かさ)
・Planet(地球)
・Peace(平和)
・Partnership(パートナーシップ)

学年発表では、それぞれの「P」ごとにプレゼンテーションを実施。十分に探究を深めてきたからこそできる分かりやすい情報提示や、探究目標に関する鋭い質疑が交わされました。
高1 貧困解決.JPG

探究の成果は、一冊のファイルにまとめて提出します。具体的調査に基づく研究論文執筆への第一歩です。

高2 SDGs 国際理解
⑫今までの探究活動の総仕上げとして取り組む

学年全体で、17の目標すべての探究に挑戦しました。

・理想論にとどまらない、具体的な問題解決策を提示すること
・プレゼンテーション(発表原稿)の一部に、英語を取り入れること
を目指した高2生。当日は各教室をZoomで繋ぎ、発表の様子を生中継しました。
高2 Zoom.JPG

先行研究データを自分たちの足で裏付けた班があったり、企業・自治体に提言できるような地域振興策を考えた班があったり。発表の様子も堂々たるもので、高校2年生の貫録が感じられました。
高2 投資提案.JPG

有志チームが、神奈川県の高1・高2生によるSDGsアクションコンテスト(SDGs Questみらい甲子園)に出場する予定です。

中学生の総合学習はこちらから

Facebookのエピソードもあわせてご覧ください。

聖園の総合学習(中学生編)

聖園女学院では、中高一貫校の特徴を生かした総合学習・探究活動に取り組んでいます。
それぞれの学年に応じた「身につけてほしい力」を明確に示し(中学生は①~⑨、高校生は⑩⑪)、生徒と教員が共有することで、研究や発表の技術を無理なく磨いていきます。
1月19日(火)に行われた中学学年発表の様子をご紹介します。

【全体目標〈中学〉 まなびの基本技能「調べる・まとめる・表す」力を高める】

中1 SDGs 貧困をなくそう
①情報の種類や特徴を知る
②引用、出典の書き方を知る
③複数の資料を合わせ読みし、比較の中で気づきを得る
④人の意見(調べた内容)と自分の意見を区別する
⑤見る側、聞く側の視点を持つ

NPO法人「RASA-Japan」を創設し、フィリピンで貧困地域の教育環境改善に尽力しているシーランド神父様(南山大学名誉教授)の講演をきっかけに、世界の貧困問題に目を向けた中1生。
中1 食糧問題.JPG

さまざまな文献やWeb資料を探し、学びを深めてきた個人研究の成果を発表します。一人ひとりが「私の行動宣言」を考え、社会を変える一歩を踏み出しました。

プレゼンテーション用アプリ keynote を使った発表は、学年の先生方も目を見張るほどの完成度。いつの間にここまで深く考察していたのかしら!と、驚きの連続だったようです。
中1 気候変動.JPG

中2 企業インターンワーク
⑥提案の根拠や裏付けを明確にする
⑦批判的な目で自分たちの意見を検証する

株式会社明治、森永乳業株式会社、江崎グリコ株式会社、株式会社ローソン、KDDI株式会社(順不同)といった身近な企業の「指令」に基づいた、新商品の提案などの課題に取り組む実践型グループワークです。
中2 指令.JPG

ワークを通して、企業活動と社会問題解決は切り離せないことを学んだ中2生。食品ロス・廃プラスチック・超高齢社会・ユニバーサルデザインなど、現代社会が抱えるさまざまな課題に対して、できる限りの解決策を練っていました。投票の結果、上位6チームがトゥワイス・アウォード全国大会に出場します。

中3 京都奈良現地研修
⑧テーマ設定を工夫する
⑨教科を越えて学問が繋がっていることを知る

「まとめ学習」から一歩踏み出す、アカデミックな発表を目指していた中3生。
現地に赴いての学習は叶いませんでしたが、探究の成果を個人発表の場で披露しました。
中3 京都の食文化.JPG

生徒たちが最も苦労したのは、情報の取捨選択。テーマに関する基礎知識、聞き手を楽しませる工夫、思わず納得する具体例、いずれも大切です。しかし、持ち時間はわずか3分間!

12月の中間発表では持ち時間の倍以上かかっていた生徒もいたようですが、本番は見事に成功。「学問を興味深く探究する姿勢とともに、ひとりの大人としての発表スキルも磨かれた」と、学年の先生方も目を見張っていました。

高校生の探究活動はこちらから

カテゴリー
最近の記事
アーカイブ