校長の声「雪だるまの将来」

　カレンダーの２月のページをめくれば、時々雪だるまの写真がある。（中期留学中の聖園生がいるニュージーランドにおいては季節外れであろう。）部屋に飾ってあるカトリック系のカレンダーには今月犬と雪だるまが仲良く対話する写真があって、裏には二人の対話が記されている。犬の質問、「天気予報によると、そろそろ暖かくなるが、溶けてしまうのは怖くないの？」に対して、雪だるまの答えは興味深い。「僕は今君と共にこの時間を過ごすことを楽しんでいる。明日のことは明日になったら考える」、と。ラテン語の諺、"Carpe diem"（直訳で「この日をつかめ」）、「きょうを楽しめ」にぴったりの答えである。

　カレンダーのこのページを見て思い出したのは何年か前に南山大学で行われたセンター試験（現在の大学入学共通テスト）のことであった。朝から雪が降って、受験生は休みの時間を使って雪だるまを作っていた。進学のために残したい試験の結果に集中するよりも、２，３日で溶けてしまう雪だるま作りを楽しんでいた。

　将来のために消えない結果を残すことは大切だと、現役の教員として言わざるを得ないが、｢今」を楽しむことができてこそ、意味がある将来になるのである。