校長の声 『振り返り』 ー 終業式の課題
聖園女学院の年間行事には生徒全員が参加するミサがある。カトリック教会のミサは必ず「改心の祈り」で始まるが、この祈りの前には「皆さん、神聖な祭りを祝う前に私たちの犯した罪を認めましょう」という、司祭の招きの言葉はある。ところで、次のような招きの言葉もある。「皆さん、救いの神秘をふさわしく祝うことができるよう、わたしたちの生活を振り返り、心を改めましょう」。
感謝の祭儀であるミサと、終業式は大分違う年間行事に見えるかも知れないが、「振り返り」と言う言葉は重要な共通点を示す。自分の間違いを認めて、そこから学ぶ決意を表す言葉である。このような振り返りの大切さを語る有名な諺はある。
"Those who cannot remember the past are condemned to repeat it."
「過去に学ばない者は、過ちを繰り返す」
自分の失敗を覚えて、そこから学ばなければ、また同じ間違いを繰り返してしまう。
このようなことを終業式で話すことは、指導する立場にある先生の役割である。先生は生徒の間違いを指摘し、生徒はそれを受け止めて改善に努力する。これこそ試験後のテスト返しの目的である。
ところで、振り返りにはもう一つの側面がある。勉強で頑張って、目標を達成できたことを確認することである。言うまでもなく、自分の努力を良い成績で認めてもらって満足しても、これで終わることでない。むしろ、勉強に成功した事は後押しになって続ける気持ちにつながり、自分の得意な活動にもっと力を入れるモチベーションにもなる。
ここで考えていただきたいことはある。今までよくできたことを続けるだけで十分なのか。自分が目指すこと、自分が本当に成し遂げたいと思っていることはこれだけで完成するのか。終業式は終わりではなく、続けて努力する事と、今まであまり考えていなかった新しい道に乗り込む事のきっかけにもなればと祈っている。
ここで見えてくる課題について聖園女学院の校訓「精励」はこう語っている。一番大事なことはまだ成し遂げていないが、何とかして捕えようと頑張っていると言う意味の「精励」を生徒(そして先生)の夏休みの課題にしたいと思う。自分の使命、自分が目指すべき人生の目的についてもう一度考えてみること、そして、振り返って、まだ足りないところを受け止めながら、自分の使命を捕らえようとする努力を続けること、という課題である。