校長の声『寝る子は育つ』
2025年度後期の最初の「校長の声」にあまり相応しくないテーマに見えるかもしれないが、学校教育の重要な側面について考えさせる諺ではないか、と思った。
FOMO(Fear Of Missing Out、取り残されることへの不安)のために、24時間営業でスマホを手放せない、十分な睡眠時間をとれない若者の睡眠不足は健全な成長の妨げとなっており、授業中の居眠りの一つの要因にもなっているであろう。最近、軽井沢の雲場池を歩き回った時に、眠っていたカルガモを見て、居眠りには健康管理以外の側面もあると気付いた。
雲場池はこのカルカモにとって安心して暮らせる場となっている。人が通りかかっても逃げない。自己防衛対策は不要、安心して眠れる環境となっているのである。一方で、観光客を無視して、勝手に休みを取っているという印象を受けるかもしれないが、人を信頼し、不安のない生活の中で眠れることは幸せと成長に欠かせないことである。
授業中の居眠りを推奨したくはないが、聖園女学院は生徒にとってカルガモの雲場池のような環境になればいいな...、と考えた。他人の目を気にせず安心して成長し、友達と先生を信頼できる環境、そして心配して自分のことを隠すことなく自分らしさを支える学びの場である環境。「安心して学ぶことができる環境」、即ち「寝る子が育つ環境」である。