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校長の声

校長の声『火山』

 日本の万の神々ほどの数ではないが、古代ローマ帝国にも色々な神がいて、それぞれの役割と性格について興味深い神話がある。そのうちの一人はVulcanus(ウルカヌス)という神であるが、彼は火の神である。たっぷり炎と煙の出る鍛冶の仕事場は、彼の名前にちなんで英語で"volcano"となっている。火山の噴火の原因は神の働きであると信じられていたので、被害に遭わないためにVulcanusをなだめる祭儀を防災対策と見なすこともできるかもしれない。

 『もののけ姫』に登場する祟り神と共通点があるようだが、日本の火山の動きは自然現象と見なされているというのが、私の印象である。しかし、どちらにしても、その壮大な風景を遠くから見て楽しんだ方が安全であろう。

 距離を置いて火山を眺めているからこそ、全体像と一緒に、色々な側面が見えてくる。具体例は軽井沢から見える浅間山である。旧碓氷峠の展望台(サンセットポイント)から間近に感じる荘厳さと、矢ケ崎公園の池で(離山の後ろに)映っている優しさは同じ浅間山のイメージである。

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 コロナウイルスの対策に欠かせないsocial distancing(社会距離拡大戦略)にも似たような効果がある気がする。感染拡大防止に欠かせない距離を保つことは、一緒に生活している人を新しい観点から見て、もっと深く理解できる機会にもなり得る。

 人となり、十字架に付けられて死んだナザレのイエスは祟り神にならないで、距離を保ちながら今でも人の心に話しかけてくださることによって我々人間が神の恵みの多様な側面を安心して拝見し、受け止めることができる。良い天気に恵まれて浅間山(8月27日現在の火口周辺警報:噴火警戒レベル2、火口周辺規制)の風景を楽しめたことも感謝している。

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