校長の声『人間の尊厳のために』 ー 静修の日
前期の終業式の時に聖園女学院の校訓である「精励」について話をした。この「精励」を生かして、自分の使命、自分が目指すべき目標についてもう一度考えてみるという、夏休み宿題を皆さんに与えた。校訓の「精励」を活かして、皆さんは先生から頂いた宿題、そして自分が決めた課題を達成できたのであろうか。
「出来た!」と喜んで、今日から後期が始まるが、宿題はこれで達成されたわけではなく、今日の始業式で夏休みの宿題の続きを皆さんに与えたいと思う。自分は何のため頑張ったのかをもう一度振り返ってみるという宿題である。この宿題の目的を示しているのは校訓の「信念」である。何故かというと、一生懸命頑張る「精励」は必ず「信念」につながっているからである。自分は何のために頑張って、何のために色々な課題に挑戦するのであろうか。この目標をあらわすのは校訓の「信念」である。
この信念を言葉にすれば、人によって違う表現にはなるが、南山学園の教育モットーである"Hominis Dignitati"、「人間の尊厳のために」は個人の領域を超える共通の目標を表す信念である。
多少堅い言葉に聞こえる「人間の尊厳のために」をもう少し分かりやすく表現はある。「かけがえのないあなたと私のために」。私達の努力は自分のためだけではなく、他の人のためにも力を入れることは求められている。学校での勉強は確かに自分のキャリアに欠かせないが、同時に「かけがえのないあなた」のためになることも必要だということを忘れてはならない。
「精励」と同じように、「信念」も個人として一人で取り組むことではない。同じ人間である仲間との共同作業を通して一人ひとりの尊厳を守る社会を築くことは「精励」の目的である。そしてそれを可能にするのは一人ひとりが持っている目標を結びつける共通の信念である。皆で力を合わせて頑張っているからこそ、この信念は知らない世界へのドアを開く学びを支える力にもなる。
「人間の尊厳のために」の意味をもっと深く理解し、その実行のために友達と力を合わせて、そして世界を変えるために用いることができる学びで充実した後期になれば、と私は祈っている。