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校長の声

校長の声『早起きは三文の得』

 昨年4月の引っ越しの際、名古屋から藤沢に持ってきた数少ない書物の中に「ことわざの泉―日・英独仏中対照諺辞典」(高嶋泰二(著)、北星堂書店、増補版、1981年)という本が入っていた。各項目で直訳と一緒に、それぞれの言語で同じ意味を表す諺も紹介されているので、「なるほど」と思わされた発見は何回もあった。例えばタイトルの「早起きは三文の得」は英語で"The early bird gets the worm"(早起きの鳥はミミズを捕らえる)、ドイツ語で"Morgenstund hat Gold im Mund"(暁は口中に金を持つ)となり、イメージが違っていても言葉と文化を越えて、早起きの価値を称賛するメッセージは伝わってくる。

 ところで、旧約聖書には非常に現実的な観察がある。「朝はやく起きて大声にその隣り人を祝すれば、かえってのろいと見なされよう。」(箴言27章14節)早起きの功罪に関する賛否両論の議論をまたいつかの機会にして、このような諺が表している知恵の出所に注目したい。つまり、人生に意味と方向性を与える知恵には、著作権があるのであろうか。

 伝教大師最澄の「忘己利他」(おのれを忘れて他を利する)はイエスの「隣人を自分と同じように愛しなさい」に通じるだけでなく、「愛人如己」という四字熟語に変えれば、その共通点がよく見えてくるのではないかと私は思う。聖園女学院の教育理念、Reiners師の「一人の存在は必ず一つの貴い使命・ミッションを持っている」に相当する有名な人類学者のJane Goodallの言葉がある。"Every individual matters. Every individual has a role to play. Every individual makes a difference."(各個人は大事で、特別な役割を持ち、必ず違いをもたらす。)

 言葉と文化を越えて通ずる知恵であるから、その著作権は宇宙の作り主にあることにしたい。この知恵を色々な言語で表しているからこそ、その豊かさをもっと深く味わうことが出来る。外国語を勉強することは三文の得にもなるであろうが、神の知恵をもっと深く理解できるという副作用はもっと価値があるかもしれない。

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