MISONO's NEWS

校長の声

校長の声『Q & A』

 英会話で学ぶ挨拶の言葉には、次のようなやりとりがある。

"How are you?"

"Fine, thank you, and you?"

 質問に対する答えのように見えるが、対話はそこからあまり関係のない方向に進むのが普通である。(最初の質問に「本当に知りたいのか」と答えたく思う時もあるが。)フランス語も似たような仕組みになっている。

"Comment allez-vous ?"

"Bien, merci, et vous ?"

 初対面で使われる、多少固めの挨拶"How do you do?"に対して礼儀正しい答えは同じ"How do you do?"なので、形のうえでも答えを想定していない質問となっている。

 このようなやりとりは挨拶の場合に可能であるが、実際の生活において、役に立つ答えを得るために質問するのである。そのために教育機関のホームページには必ずFAQ、「よくある質問」の欄がある。聖園女学院のホームページには中学入試や学校生活に関する

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(https://www.misono.jp/examination/faq.html)

という欄があるし、そしてもっと細かい情報を求めている方に

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(https://www.misono.jp/contact/index.html)

のところで、電話番号やインターネットによる問い合わせフォームを提供している。

 答えの要らない挨拶もあれば、質問に対して明快な答えを必要とする場合もあるが、"Q & A"のやりとりにはもう一つの注意すべき点がある- 「自分の質問は適切であるかどうか」と自分に問いかける心構えを持ち続けること- 一つの具体例は、イエスが聖書の専門家と交わした、安息日に関する議論である。(マルコによる福音書3章1節~6節)安息日に関するルールの厳守を誇りとする人にとって不可欠な質問- 「安息日でやってはいけないことは何か」- に対して、イエスは別な質問を投げかけた。「安息日に律法で許されているのは、善を行うことか、悪を行うことか。命を救うことか、殺すことか。」間違っていたのは伝統的な答えではなく、既成の答えしか想定しない質問であった。

 4月から聖園女学院中学校に入学する新入生、そして現役の生徒に考えていただきたいことがある。親、先生、先輩、そして教科書は溢れるほど答えを提供しているが、「答えの前に質問があることこそ学びの出発点である。」というのは、教えてもらった答えが自分の持っていた質問の答えにならなければ、何のために勉強しているのか見えなくなってしまう危険がある。しかし、本物の学びになるためにはもう一歩前に踏み出す必要がある。

 質問の形での挨拶"How are you?"に敢えて別な質問で疑問をかける必要はないが、人生の基礎に触れる質問を自分なりに問いただすことは、同じ教室で一緒に学ぶ生徒達の共通課題である。答えを与えるより、質問を引き出すことが教育になる- 教員の1人として忘れないようにしたいと思う。

追伸

 グーグルで"How do you do"の翻訳を検索したら、答えは「ごきげんよう」になっていた。

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