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校長の声

校長の声『ご覧よ空の鳥』

 カトリック教会の典礼聖歌391番「ご覧よ空の鳥」(菅野淳作詞、新垣壬敏作曲)に使われている聖書の箇所は、マタイによる福音6章26節である。「空の鳥をよく見なさい。種も蒔かず、刈り入れもせず、倉に納めもしない。だが、あなたがたの天の父は鳥を養ってくださる。」天地の創造主である神の優しさを描いている、分かりやすいイメージではあるが、この続き(「あなたがたは、鳥よりも価値あるものではないか。」)は、大分前から気になっていた。空の鳥と我々人間は、このように比較できる存在であろうか、と。しかし、最近のある出来事を振り返って、これは人類と鳥類の上下関係の問題ではないと、私は考えるようになった。

 10月7日、朝礼の時、講堂に迷い込んでしまった小鳥は、出られなくなった。諦めた顔で椅子に座って、逃げようともしなかった。手に取っても抵抗しないし、そして外に運んでも飛び立たとうともしなかったので、箱に入れて布で覆って保護することにした。しばらくして、この布を取れば、バタバタと羽を動かして箱から出ようとしたので、箱を外に出して開けたら元気よく飛び立った。

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 三つのことを教えさせられた気がする。一つは、鳥と人間の価値差の問題である。空の鳥を優しく見守るのは、天の父だけではない。我々人間にも全ての生き物の命を支える環境保護の責任がある。

 二つ目は、箱に閉じ込められた小鳥を見て連想したことであるが、自分の中に閉じ込められている我々を拾って放ってくださる(目に見えない)力があるからこそ、我々はもっと広い世界に飛び立つことが出来る。捕まえられたからこそ、自分の力で得られない解放を味わうことが出来る。

 三つ目は教員である私に対する注意事項。小さくて可愛い生き物であれば何かをやってあげたい気持ちにはなるが、小鳥のためを思えば、それをやってあげ続けてはいけない。大人の目で見れば弱さが目立つかもしれないが、「踏み出す人に」になれるために思い切って手放す時期は必ず来る。

飛び立つ小鳥の動画

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