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校長の声

校長の声『2020年3月3日(火) 聖園女学院高等学校卒業式 餞の言葉』

 卒業証書を授与された皆様、おめでとうございます。普通の卒業式とかなり違う式になりましたが、少しだけ、「卒業」について私の考えを皆さんに紹介することにしました。

 「卒業」という意味で使われている英語の言葉には2つあります。一つは"graduation"です。これは、やるべきことを全て成し遂げて、目の前にある階段を上って卒業証書を受け取ることです。長い人生のシンボルである階段なので、辿り着いたところは目的地ではありません。もう一つの言葉は"commencement"です。これは、今日から今までと大分違う、新しい活動が始まる、という意味です。

 皆さんは入学してから聖園の学習コースを走ってきたので、次のステップに踏み出し、新しい方向に歩み始める準備は出来ましたが、皆さんが力を入れてきた勉強の全ては「これで終わり」ということではありません。むしろ、卒業は生涯学習の継続を促す区切りだと考えてください。

 言うまでも無く、卒業で終わることもあります。聖園を離れるので、6年間登ってきた聖園坂は楽な下り坂になります。しかし、これは今日、一回だけのことですし、この先には多分また沢山の険しい上り坂があるでしょう。しかも、皆さんが今後進むコースは聖園の先生が示す決まったコースではありません。自分で考えて、自分で選ぶコースです。歩んできた聖園の道と大分違うコースにはなるかもしれませんが、その違いを端的に表しているのは6年間の学校生活の枠組となっていた学則のルールと、皆さんが着装した制服ではないか、と私は思います。皆さんは聖園の学則と制服で決められた学校生活を後にして、聖園から離れていくのです。

 卒業する皆さんのことを考えて、私の頭には一つのイメージが浮かんできました。皆さんは毛虫から綺麗な蝶々に脱皮します、と。制服を脱皮して本当の自分、本物の美しい自分へ成長するのです。しかし、graduation、そしてcommencementの卒業だからこそ、新たな課題も見えてきます。聖園の枠組みを離れて行く皆さんは、今後自分の姿と言動に関して自己責任を問われることになるのです。羽を広げて飛んでいく皆さんですが、どういう目標を目指して先に進むかを自分で判断しなければならないのです。この課題に取り組む為に、聖園で学んだことの証拠となる卒業証書と一緒に、嬉しい時・辛い時の想い出、そして一緒に勉強した友達との絆を持ち帰ってください。

 ところで、皆さんが卒業してからも聖園に残る、大切なものがあります。皆さんを教えた先生、そして聖園の制服を着て毎日聖園坂を登ってくる後輩の心には、皆さんのメモリーは残っているのです。皆さんは聖園女学院の一部となっていると言っても過言ではないと思います。皆さんが一生懸命活動していた場だからこそ、蛙の観点から見ても、富士山と一緒に聖園女学院は悠然として見えてくるのです。

 最後になりますが、心を繋ぐ思い出があるからこそ、聖園は皆さんにとっていつでも戻れる場となることを祈って、餞の言葉にします。

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