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校長の声

校長の声『平和の家』

K50-1.png ドイツ中南部にシュパイアー(Speyer)という都市はある。紀元前10年にローマ帝国の基地として起こされて、ドイツの中で古い歴史を誇っている町の一つであり、11世紀半ばに建設された大聖堂はユネスコの世界遺産に登録されている。

 2年前にこのシュパイアーに行った時、もう一つ注目されている建物を見学する機会があった。名称は「平和の家」であるが、ドイツの"Haus des Friedens"もヘブライ語の「ベイト・シャロム」の翻訳で、2011年に建築されたユダヤ教の礼拝堂である。1938年にナチ政権が誘導した暴動で破壊された元の礼拝堂が再建された場所は、19世紀前半まで、カトリック教会の聖堂があったところで、その後に建てられた修道院は礼拝堂の一部として残っている。

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 ユダヤ人の集団殺戮まで至った差別と宗教間対立の歴史を振り返って、「平和の家」という名称は心に響いた。カトリック教会のミサの中で「平和の挨拶を交わしましょう」という招きに対して参加者は「主の平和」と互いに挨拶するが、「平和の家」であるべき教会で祈る度に欠かせないのは、自分の言動は世界平和を妨げる要因となっている可能性を素直に認めることである。

 ちなみに、シャロムは今でも(会う時と去る時)使われているヘブライ語の挨拶である。平和の実現に貢献する自分の責任を忘れないで、単なる挨拶の言葉で終わらないよう祈っている。

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