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校長の声

校長の声 『ファウスト』

 私が高等学校の最後の3年を過ごした学校寮で聞いた話。台所の世話していたシスター達は「今度の祝日に雨が降らないように」という祈りが書いてある手紙を聖母マリアの像の前に置いた。当日は雨が降り、シスター達は怒って、「あなたも雨に濡れてもらう」と、像を外に出した、という話である。

 普通は聖園祭の最後に行われる伝統行事、高3生の「ファウスト」が9月30日に変更された当日の話。始まる15分前から降り始めた雨の故にファウストは体育館のメインアリーナで行われた。球技大会等の時にいつも登場する「テルテル蛙」はその間にグラウンドで雨に濡れていた。

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 ファウストが終わった途端に雨は止んだが、この不思議なタイミングをどう考えればよいのか。イエスの有名な言葉が頭に浮かんでくる。天の父は「悪人にも善人にも太陽を昇らせ、正しい者にも正しくない者にも雨を降らせてくださる」。(マタイによる福音書5章45節)

 しかし、これで生徒・保護者・先生は皆納得するであろうか。ファウストで使われている曲はフランスの作曲者グノーのオペラ「ファウスト」からのワルツである。このタイトルは元々ドイツの人物、Faustという男の名前であるが、この名前の意味は「拳」である ― 拳を振って、雨を降らせる神に向かって自分の不満を示したいファウストとなったかもしれない。

 計画を立てても、その成功に必要な条件を全てコントロール出来ないので、同時に受け入れ体制を整えることも必要である。また聖書からの有名な言葉。「わたしは裸で母の胎を出た。裸でそこに帰ろう。主は与え、主は奪う。主の御名はほめたたえられよ。」(ヨブ記1章21節)

 とは言っても、時々天に向かって拳を振いたくなる時もあることを否定できない。

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