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校長の声

校長の声「 "Trophy" 」

 南山大学と上智大学の年間行事で目立つイベントは上南戦である。今年の7月には第65回目になるが、開会式と閉会式に登場するものはこの上南戦のトロフィーである。開会式には前回勝利したチームはトロフィーを返し、閉会式には勝利したチームはそれを受け取る。つまり、勝っても、トロフィーが自分のものになるのは1年だけ。聖園女学院で毎年6月に行われる球技大会のトロフィーも同じように動いている。

 トロフィーの語源であるギリシャ語の意味は敵軍の完敗("trope")を祝う祈念碑("tropaion")である。勝利のシンボルとしていつまでも自分のところに残る。上南戦と球技大会は決して戦争と思わせる競技ではない。しかし、「勝った!」という誇りの記憶が残っていても、勝利のシンボルであるトロフィーを開会式で返すのである。

 ここで見えてくるのは勝利を目指して頑張っても、相手チームの負けは目的ではないというスポーツ大会の本来の目的である。むしろ、定期的に取り組む競技であるからこそ、勝ち負けを超えて、互いの頑張れる力を支え、強化する競技になることが目的である。

 ここで頭に浮かんでくるのは聖園女学院の校訓、「精励」である。「なすべきことはただ一つ、後ろのものを忘れ、前のものに全身を向けつつ、神が〔中略〕お与えになる賞を得るために、目標を目指してひたすら走ることです。」(フィリピの信徒への手紙3章14)競争相手は人間ではなく、目指すべき素晴らしいトロフィーを示してくださる神、負けてもまた新しいチャンスを与えてくださる神である。

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