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校長の声

校長の声『Prost Neujahr』

 ドイツ語で新年の挨拶として"Prost Neujahr"という言葉が使われている。"Prost"の元はラテン語の"prosit"、「便益になる、恩恵をもたらす良い一年になるように」と、祝福を願う言葉である。

 同じ"Prost"は祝賀会等で乾杯の音頭にも使われている。ワインや(とりあえず)ビールのグラスをあげて、互いにお祝いの言葉をかけ合う。

 新年を乾杯で迎えることは日本でも普通だと思うが、慣例の挨拶は「乾杯」ではなく、「明けましておめでとうございます。」となっている。以前からいつも少し不思議に感じている言葉である。ここで「明けまして」を「開けまして」として考えてみると、開けてみなければ本当にめでたいかと見えてこないのではないか。こう考えてみると、ワインにも同じような難点がある。瓶を開けて飲んでみなければ、美味しいかどうか分からない。

 ここで参考になるのはイエスの有名な言葉。「古いぶどう酒を飲めば、だれも新しいものを欲しがらない。『古いものの方がよい』と言うのである。」(ルカによる福音書5章39節)熟した古いワインが美味しいと感じるのは人間の本質かもしれないが、このような考え方の弱さを指摘することはイエスの言葉の目的である。

 ここで見えてくるのは「開けてみないと分からない」という立場の弱点である。古いワインの美味しさに拘る人は毎年11月の第3木曜日で発売されるbeaujolais nouveau(ボージョレヌーボー)の良さを見逃す。そして、今まで経験した過去の良い側面に目が取られたら、開けられたばかりの新年にはめでたさが沢山あることにも気づかない。

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 無事に開けることができた新年2025に乾杯!

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